北京で太極拳

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五禽戯(猿戯)。。。中医による解説

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再び、北京中医薬大学≪曲黎敏教授≫による五禽戯(猿戯)講義。。。



猿戯は人体五臓のどこに効果があるのでしょうか?⇒「心」です。
誰もが知っている「心猿意馬」という言葉があります⇒私たちの心は猿と同じように、上に下にと飛び回り落ち着ことがありません⇒心臓と同じ、いつも動いて定まることがない状態。

心が定まるには功夫が必要になります。
五禽戯の中の猿戯は、どうして定心=定心神ができるのか?

猿戯の中の二つの動作≪猿提≫と≪猿摘≫には、意味があります。

猿提の動きは、子猿の動きに似ています。
先ず、手の形を猿鈎にして、下から持ち上げ~続けて上に=同時に肩を上げ、首をすくめる。それから、首を左に回す~正面に戻して~右に回す。

この動作、手腕を上に持ち上げた時、肩首に力が入るので、痺れるような張るような感覚が生じます⇒肩の鍛錬になります⇒心情が緊張すると、その影響は肩背に出ます⇒肩をすくめるのと同じ状態です。

背中に痛みが表れる原因は複雑です。道理を知る為に、まず心理面のイライラと関係があるということを理解してください⇒肺と心が安定していない時には肩に症状(問題)が出現します⇒猿戯は肩首部への運動効果が大きく~心臓を上から圧迫するような感じになります。左右に首を回す(左に回し止める~戻し~右に回し止める)という動作を利用して心臓に圧迫を加え鍛錬しています。

心は血脈の主⇒血脈が衰える=心臓が衰えている⇒抹消まで血が至らなくなる。
末梢=手指、足指の先端、頭皮、頭部。

この動作(緊張と弛緩の繰り返し)を行うことで、末端へと血を送る効果が得られます。
陽気を上に流す⇒肩を動かす⇒肩井穴を上げる。

この動作のポイント⇒踵を上げる⇒上(肩を上げる)は心臓、踵を上げるは腎の鍛錬になります⇒心臓に問題が出る=心腎相交に問題がある⇒この動作は腎と心の二つに効果があります⇒必ず収腹、提肛⇒古代の回春術=猿戯を鍛錬する人は、若返る。

摂谷道(肛門筋に力を加えると静脈の通りをよくする)=収腹提肛⇒全身を持ち上げる⇒古来からの回春術。

会陰穴を引き上げる⇒日常生活の中で提会陰穴の習慣が無いと五臓六腑(中気)が下降してしまいます⇒提肛(会陰穴を引き上げる)を気にかけるようにすると、内臓も上に動き鍛錬ができます=内臓下垂の予防となります。また、遺尿や失禁を防ぎます。

毎日百回、この収腹提肛を続けていれば、老いても五臓六腑の健康を保つことが出来ます。

≪猿摘≫は意味のある動作です。
五禽戯の中で最も複雑な動作⇒映像的な動作。
この動作の特徴は小猿のような敏捷性~あちこちを見回し~前面に桃を見つけます⇒それから、木の上にある桃を採ろうと考えます⇒高い所にある物を採るには、先ず、下に沈み~脚を出して~片方の手で障害を払い、もう片方の手で桃を掴む~手の形は握固となる~体を後ろに戻し、頭を後ろに回し~小猿は掌中の宝(桃)を眺めるという情景が感じられる動作です。

猿の機敏、用心深さ、桃を手に入れた後の喜び等が表現されています。
宝物を手に入れる~毎日この動作を行うと、自然に心身も楽しくなっていきます。

この動作のポイントとなるのは、摘桃の動き~両脇をストレッチしています=肝経に効果があります。

肝と心の関係は?
肝は五行に照らすと木、それと心臓(火)の関係は⇒「木生火」
肝気が通る=心にも気が満ちる=心血が足る⇒相応している。
これは単純に肝と心だけの問題にとどまらず~肝、腎、脾胃などの人体の全ては互いに系統だっているので、互いに影響し合っています。

桃を採った後、手は「握固」に変わります。
握固は、肝経を鍛錬する時に行われる動作です。
握固の手法は、親指先を薬指の付け根に、それから四本の指を固く握ります⇒これは、神様からのプレゼント⇒生まれたての子供の殆どは、誰れが教えたわけでもないのに手を握っています⇒自保功。

「握固」の持つ意味は⇒シッカリと拳を握る⇒肝気足。
「固」という字は、何を表しているのでしょうか?⇒「固摂肝魂=肝臓の気血が漏れないようにしている⇒通常状態では、魂は肝の中に納まっている」

子供のうちは神門が開いていますが、成長するに従って閉じていきます。
神門は魂が出入りする場所。神門が閉じるに従って、握固は開いていきます。
子供は大人よりも怖がりです⇒経験が少ないこともあって、外で起こったことに敏感に反応します。そんな時、拳を握って気持ちを落ち着かせています⇒神様が子供に与えた自保功能。

猿摘の、もう一つの心に与える効能は。。。
≪心主神志≫⇒私たちの心が乱れた時、精神的にもアタフタします⇒心が落ち着くと精神も安定してきます。

落ち着く~に必要な要素は?
猿摘の中では~先ず、観察⇒観察は、心を安定させる為に重要な要素⇒自分が周囲のことをまるっきり知らないという環境では、気持ちが落ち着きません⇒それから足を出し~手で障害を取り除き、落ち着いてから果実を掴みます。この果実は、気持ちを落ち着かせることが出来ます⇒目的達成を喜びながら獲物を眺めます⇒心主神明(心の機能が正常であれば神明は健全、旺盛、明晰となる⇒心が不正常だと精神や意識に影響し、色々な障害を生み出し臓腑機能の失調を引き起こす)

この動作を練習して得られる効果は沢山あります。
昔の人たちと現代の人との生活は大きな違いがあります。
以前の人たちは、≪動身不動心≫⇒毎日体を酷使して働いているが、気持ちは充実していて、精神的な乱れは少なかった。

現代人の生活は真逆で、≪動心不動身≫⇒気を使うことが多く、運動不足気味⇒いつも気が張っていると、精神が不安定になってきます。

また、社会情勢などが落ち着かない時、人の気持ちも又落ち着くことができません(=躁)⇒心に乱れが生じると精神に問題が生じます⇒心猿=心は、猿と同じようにソワソワと落ち着きがないという本質を持っています。ので、安定させなければなりません。

猿提と猿摘を練習すると~≪心主血脈≫と≪心主神明≫が得られ~平安な気持ちで生活することが出来るようになります。
by takeichi-3 | 2012-08-06 23:48 | 気功:五禽戯・八段錦他 | Comments(0)