北京で太極拳

takeichi3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

養生、太極。。。



早朝の中国。多くの都市で、毎日のように太極拳を行っている人を見かけます。
綿軟で伸びやか、緩慢な速度~これは、中国伝統の健身運動です。
何故、太極拳をするのかと尋ねると、ほとんどの人が、「強身健体、養生延年」と答えます。
本当に、太極拳にはそのような効果があるのでしょうか?
太極拳の養生原理はどこにあるのでしょうか?
簡単そうな問題ですが、満足のいく回答が出来る人は多くはありません。

河北省邯郸市。太極拳を行う人たちをカメラに収めている人がいます。
≪張子明≫、、、脈により病気を判断できる、四十年以上の経験を持つ中医です。
太極と中医には、どのような養生関係があるのか~資料を探っています。

誰もが、太極拳は健身養生方面に優れていると知っています。それは???

1799年、邯郸から20kmにある広府県城。
此処に、楊露禅と呼ばれる子供が生まれました。
二百年後、中国だけではなく世界各地へと普及していく太極拳の主流となる拳の創始者です。

家が貧しかったので、十歳を過ぎた頃から薬店で働いていた楊露禅。
武術が好きだった彼は店主に見込まれ、河南省陳家溝へと紹介され、その拳を学ぶことになりますが~
※楊露禅の偸拳~よく知られている故事~ので、省略⇒ http://takeichi3.exblog.jp/19360427/

十八年後、陳家拳を基礎として、新拳を創ります⇒四大太極拳の一つ、楊氏太極拳。
楊露禅は73歳で亡くなりますが、当時の中国では70歳を過ぎた人は稀(古稀)~その拳に養生効果があるのでは、、、

その秘密を解こうと、張子明は楊露禅の四代孫≪楊振国≫を訪ねます。
「楊家では、6歳から武術を始める。あの写真が~父親から太極拳を習った。幼い頃から、拳を見聞きして育つような環境だったので、初めてという感覚はなかった」

84歳の楊振国もまた、現代では長寿の範疇。
脚は悪くなっているが、、、不自由のない手を使って、毎日一時間半の練習を続けている。

一時間半に及ぶ運動は高齢者にはキツいと思っている張子明が、楊振国の脈を調べる⇒バランスがとれている。気血も脈も安定している⇒精・気・神ともに問題なし。

年齢的には、考えられない良好な状態。
特に心拍数が毎分50回と平均より低い=強い心臓の持ち主⇒一般的な心拍数は毎分60~90。
運動選手の心拍数は比較的ユックリ~大量の酸素を送り込むと同時に、二酸化炭素を排出しなければならないので心臓が強くなってくる。

早朝太極拳を行っている人の多くは、既に退職している50、60歳の中老年。中医から解釈すると、脈拍の平穏は健康と長寿の基礎。

古代から伝わる養生体操~五禽戯。
緩慢に~五種の動物の動きを真似た訓練。

それぞれの動きが合わさって、気血の通りをよくし~体力を増強させる効果がある。

華佗が創ったといわれる五禽戯。
戦乱期だった当時、傷を負った兵士やか弱い一般民たちが強壮な身体になれる動きを考えた。

当時の華佗、二千年の時を経たのちに~太極拳という新しい拳の中に相似した動作が織り込まれることになることなど思い及ばなかっただろう⇒猿摘の動作と単鞭の近似~他にも、金鶏独立、白鶴亮翅とか~五禽戯が太極拳動作の基礎になっていると思わせるような~太極拳の一動作、一動作の中に気血の通りを良くして体力を増強させる効果を見出すことができる。

気血は、中医理論の最も重要な組成部分。

毎朝8時から、張子明は老人たちの問診を始める。
不調の要素となるのは、出気血不足、気血不和、気血不順。。。
気血~中医では、人体内に存在する気と血を表現する言葉。具体的に患部を捉える西洋医学の考え方とは異なる。中医~「気と血」それぞれの作用は異なるが、互いに依存し合っていると捉えている⇒それぞれが共同で、臓器組織に栄養を供給して生命活動を維持している。

「気は血の帥、地は気の母」「気行則血行、気停則血滞」
気は血を推し動かす⇒血液循環を司る⇒気=人体内で行われている機能を表現する言葉。

太極拳による気の修練。
楊振河は、楊式四代伝承者。子供の頃から伝統的な方法での練習を続けている。60年前と同じ方法で弟子たちを指導。

下勢の練習~
中国武術、内家拳・外家拳に関わらず、腰腿功に重点をおいている。腰腿功があって、ようやく全身上下合一となることが出来る。

「動作はユックリ~」
腿功練習は、中国武術では基礎と見做されている。学び始めた小さな弟子たちの動きは軽松。
低くなった時にも楊振河は早くなることを許さず、ユックリであればあるほど良いと要求⇒速度をコントロールする~呼吸のコントロールに繋がる⇒平穏な呼吸に~

運動後に息が上がらない人=気が長い⇒健康。
運動後に気が上がって、ゼイゼイしてしまう人=気が短い⇒健康とは言い難い。
気によって、人体の健康状態を診ることが出来る。

俗説~「人活一口気=人は、呼吸する(酸素=気を取り入れる)ことで生きている」
太極拳運動時、気によって血液を循環させてる~新陳代謝を促し~臓腑の運動も行っている⇒太極拳による気の訓練⇒養生となる。

太極拳と似たような動きですが、太極拳ではありません。
中国宋代に生まれた養生功法≪八段錦≫。
八つの異なる動作の組み合わせによって、医療、健康回復効果をもたらす体操です。
簡単な動きですが、一式一式が身体各部(関節)に働きかけるような動作になっています⇒この功法が、千年にも亘って受け継がれてきたのは、経絡(中医の別称)が考慮されている動きだから⇒経絡の通りを良くする~健身効果に優れている。

例えば、気が上に上がり~下降する⇒気、血、経絡の整体運行。

関節を運動させることによって、経絡の通りを良くする~八段錦の動作内含を取り入れた太極拳の運動特徴でもある、「一動百動、全身貫通」により全身をくまなく動かしている。

武術は攻防が主なので、剛烈迅猛。
古くからの拳~少林武功も剛猛な外家拳。祭李仏拳などの南拳、戳脚も。。。

太極拳が生まれ、、、
綿軟、軽柔な太極拳は、人々に「これが拳と呼べるのだろうか」と疑問を持たれたが、、、
太極拳は、相手の力をコントロールした後に倒す拳。

太極拳の一式一式は陰陽によって連環している=吸吐、開合、進退、虚実などの変化~
開進=陽~相手が陽で押して来たら、軟になる=合⇒相手を引き込み、その力を空にする=化劲~相手の力が消失したら、開⇒人体の陰陽変化~気と経絡による一気貫穿。

中医理論に存在する陰陽⇒陰虚陽虚、陰陽平衡。
中医にとって、生命力の基準となるのは陰陽⇒陰陽のバランスがとれていれば、病気にならない。
陰陽のバランスが乱れたり崩れたりすると、病気になる。
太極拳に健身養生効果があるという根拠は、陰陽のバランスを取っているから。

春秋戦国時代には既に健身体操が流行していた~色々な動作がある。
馬王堆から発掘された導引図⇒人々が体操をしているような動きが描かれている⇒一種の養生術⇒中国で最も古い養生体操。

この二千二百年前の動きの中に、ヨガの動きを見つけた受講者。

五禽戯、八段錦、太極拳も又、二千年前に創られた導引図に描かれている健身養生の功法を受け継いでいる。


※養生太極拳の基本練習法⇒ http://takeichi3.exblog.jp/7637069/
by takeichi-3 | 2013-09-04 23:55 | 気功:五禽戯・八段錦他 | Comments(0)