「柔中有剛」「綿里蔵針」の剛&針=「掤劲」と言われていますが、、、
蓄と発の原動力ともなる掤劲~論を少しだけ。。。
掤は八法(掤、捋、挤、按、採、挒、肘、靠)の首に位置している。
この字は、太極拳家が創造した字だと言われている⇒手偏に二つの月=肘(腕)の曲線。
とはいえ、用法(前腕が、上から下に向かう力)だけではなく~上体(狭脊、命門)、脚(膝、股関節)に現れる弓(新月の弧)=五弓が呼応して作られる膨満な状態(掤劲)も掤と表す。
この字は、武禹襄以降の太極拳譜に用いられるようになった。
武禹襄の兄、武澄清が著した拳譜の中には見られない。
掤在両臂⇒掤劲は両腕に出現。
又、掤は一種の劲力、一種の技法でもある。
太極拳八法の中で一番の基本となり重要なもの⇒掤、捋、挤、按、採、挒、肘、靠を行う時、全ての場面に掤が内在している⇒掤が存在しない場面は無い。
掤劲は、相手と拮抗するような力みではなく、臨機応変に相手の力に変化対応~化した(相手の力を逸らした)後に、攻撃(発力)に転ずることができる力。
手法では、、、
相手の手に接した時、相手の力の流れに逆らわずに引き込む「化法」
相手の力の方向に引き込むとは言っても、100%その力の方向のままに動くのではなく微妙に逸らしていく。
引き込み「化」する基本的な三方向。。。
①自身の上方。
②自身の左右。
③自身の下方。
太極拳には、上弧、中弧、下弧等の動きがあるが、掤はこれとは異なる。
掤は、先ず、引き込んで「化」した後に、「発(攻撃)」に転じる。
太極拳においては、いかなるときにも掤が失われてはならない。
手腕だけではなく、身体のどの部分にも掤劲が存在している⇒掤劲不丢(失)。
掤劲=弹性のある劲力=活劲。
内から外へ向かう力⇒外に向かって膨胀=撑圓の状態⇒風船のように内側からバランスを保って膨らんでいる⇒肢体が放松して引き伸ばされることによって生産される弹性劲力。
≪立身中正と身備五弓≫
中正安舒(身体は自然で真っ直ぐに)⇒虚領頂頸、沈肩墜肘、含胸拔背、気沈丹田⇒立身中正となれば、放松して~「五弓」が出現⇒身弓、左右の腕、左右の脚、蓄劲&発劲準備が整う⇒「出力由脊発」
★「身備五弓」=掤劲。