朱旭(NHKドラマ大地の子~一心の養父)。
昨年、長年連れ添った愛妻を亡くしたそうですが、久しぶりに演劇の後輩たちとテレビ出演。
相変わらずの、暖かい人柄が感じられます。
冒頭は、初めて出演したテレビドラマ≪末代皇帝≫の話題。
若い溥儀を演じて評判になった陳道明の後を継ぎ、哈爾濱収監以降の溥儀を演じて、やはり評判に。極寒の哈爾濱ロケ。身にピッタリと誂えられた衣装~中にセーターを着こむことも出来ず辛かった~酒を飲んで身体を温めていたとか~≪變臉≫で共演した猿。初めのうちはなつかず、猿使いからよく叩かれていたけど、餌をあげたりしているうちに私の方になついてきて~憔悴している私に猿が写真を持ってくるシーンも、言い聞かせただけで理解した~あの時は徹夜で撮影、間もなく夜が明けるという頃~猿は眠くて目を開けていられなく~怒ったり、煙草を与えたりしてもダメで~砂糖を加えたお茶を飲ませて、ようやく~な状態で撮影したのが、あの表情。
その他部分は、、、
★朱旭の演劇人生⇒
http://takeichi3.exblog.jp/18017199/と似たやりとりですが、、、
今までに出演してきた数々の映画や舞台での映像が見られます。
この番組を見ながら、もう一度見たくなった~朱旭が、カメラに向かうのは最後と決めた作品。
監督と脚本を担当したのは蒋雯麗(一心の妻役)。
彼女の自叙的作品≪我们天上見=天上で会いましょう≫⇒釜山国際映画祭で観客賞を受賞。
1970年代末、政府の下放政策で新疆に送られることになった父母は、母方の祖父に小蘭を託します。孫の面倒をみながら娘の帰りを待ちわびる祖父。緩やかな時の流れの中で、孫は日々成長し、祖父は日々年老いて~立場が逆転していきます。
言葉数の少ない穏やかな映画。
祖父が与えてくれたことを、自然に祖父に与えるようになる孫。
思いやりや優しさは、人から人に受け継がれていくものだと気付かされる佳作です。
※内容は、下記を把握していれば十分。シンプルだけど味わいのある良い作品です。
私の名前は蒋小蘭。
祖父が“君子如蘭=蘭は高尚な人格、節操の象徴”という願いを込めて名付けた。
私が生まれたのは文化大革命の真っ最中。父母は私が三歳の時に政府の農園建設のために、私を祖父に預けて新疆に向かった。
子供の頃、蒋という姓を恨んでいた。
当時、蒋介石は国家の敵と見做されていたから、同じ姓をもつ私を同級生たちは悪者呼ばわり。
祖父の姓は唐なのに。糖奨、糖稀、糖葫芦とからかわれたほうがマシだった。
登校拒否で転校を望んでいた私が「河に飛び込みたい」と言った時、「河はまだ凍っているよ。」と答えた祖父は、私の言葉の本当の意味を理解していなかった。
酒瓶の蓋が見当たらなくて、祖父が小蘭に尋ねても「知らない」と。。。
「見つけてくれたら5分銭をあげるから。」
という言葉を聴いて、即座に壊れた蓋を差し出す孫。
「おしおき棒を持っておいで。」
「どうして、見つけたら5分銭をくれるって。」
「おしおき棒だ。聞こえたか。」
「お前を叩くのには理由がある。してはいけないことを繰り返さないように覚えこませる為だ。」
その時、物乞いがやってきます。
祖父は孫に五分銭を渡し「彼にあげてきなさい。」と。。。
嫌なことがあった時には、いつも箪笥の中に引き籠る小蘭。
「どうして友達は私のことを反革命の犬っていうの?」
「気にしなければいい。」
「お父さんとお母さんは、どうして帰ってこないの?」
「何度も話しただろう、新疆を緑に変えたら戻ってくるよ。」
「新疆って、どこ?」
「大きな砂漠の中にある。汽車で何日もかかるところだ。」
「砂漠で何をしているの?」
「砂漠を良田に変えている。」
教室に入ろうかどうしようか迷っている時に、隣のお姉さん小翠が体育学校で武術を教える恋人のところへ連れて行く。そして体操のクラスにも。
「あの人、恋人?」
「他の人には内緒よ。」
「おしおき棒を~」
「どうして?」
「学校にも行かずに何をしていた?」
「学校には行ったよ。」
「嘘をつくんじゃない。私も学校に行って来た。先生が二日も登校していないと話していた。何処に行っていたんだ?」
「小翠姉サンの恋人が武術を教えているクラスに。」
「おしおき棒を~」
大きな泣き声を聞きつけた隣のオバさんが止めにやって来て、自分の娘が武術の教練と付き合っているのを知って怒りだします。が、万事うまく進み、二人は公認の仲に。
飴を食べ過ぎて体調を崩し、向かった病院の壁にかかっていた体操少女の切り抜き。全中国チャンピオンだという少女の姓も又、蒋。
「体操をすれば、あなたも第二の蒋になれるかも。」
と言う医師の言葉が心に残ります。
アルバムを見ながら、、、
「これはお婆さん、これは叔父さん、大叔母さん、、、お母さん。皆な死んじゃったけど。」
「お前のお母さんは、まだ死んでいないだろう。」
「結核が流行って叔父さんが死んで、お母さんにも染ったけど良い薬が出てきたので助かった。じゃなければ、私は生まれなかったの。」
(家族の殆どを失ってしまった祖父にとって、小蘭は無二の家族)
この川は准河。この国で三番目に大きな河。北方と南方はこの河によって分けれている。
父さんと母さんは北に、私は南に。あの頃の私は、本当に、河に飛び込んで北に向かい、父さんと母さんの様子を見に行きたかった。
学生だった隣のお姉さん小翠は下放政策で新疆に。
芸を身につけていれば農村行きを免れる、という噂を聞いた祖父は小蘭に体操を習わせようとした。
体操や武術など体育や芸術系統を学べるのは、国によって選別された才能のある子供たち。
体操に適した能力を備えていなかった小蘭は、余業(趣味?)と呼ばれ相手にしてもらえなかった。
かつては機関車の運転手だった祖父。
「これは満清政府のだ。あの頃、京浦鉄道が開通したばかりで、私が最初に運転したのは天津から此処まで。まだ辮髪を結っていた。これは民国の頃。李宗仁将軍の専用列車を運転していた時、将軍の前に置かれた茶の表面に波一つ立たない位滑らかな運転だったので、感激した将軍から30大洋を貰った~」
新疆にいる母親から哈密瓜が届き、隣近所に配り~「体操の先生にも届けなさい。」と言われ、出かけるには出かけたけれど、結局は自分で食べてしまった小蘭。
隣のお姉さん小翠が、新疆で火山噴火に巻き込まれ亡くなってから、死に対しての恐れが芽生える。
「お爺ちゃんは、死ぬのが怖い?」
「いや。生きている時はお前と一緒。死んだら叔父さんたちに会える。どっちにも親しい人がいるから。」
「人は死ぬと何処に行くの?」
「良い人は天上に。悪い人は地下に。」
「私は、どっち?」
「人を助けて、良い行いをして、嘘をつかないのが良い人だ。」
蘭の花が好きな朱徳委員長を乗せた汽車が駅で停まるという。
祖父が、「多くの蘭を育てて駅に飾りつけて迎えれば委員長が喜んで小蘭の両親の帰郷を早くしてくれるかもしれない」という近隣住民の意見を取り入れようとした矢先、委員長が北京で死亡。希望を断たれた祖父は、身も心も疲弊しきって老いが加速。内臓が機能しなくなっていて、唯一心臓だけが動いている状態だという医師の診断。父母が帰るまで~と、私を思って頑張っているのだろう。
久しぶりに、母から届いた手紙。
「十年経って、ようやく手紙を出せるようになりました~間もなく、戻ることができそうです。」
???今まで何通も届いていたのに~。。。
祖父が亡くなり~遺体の埋葬に向かう車を待つ小蘭。車は~彼女に気付かないかのように通り過ぎ。
地下に埋葬される自分の姿を見せたくなかったのだろう~祖父は、天上に向かったのだ。