太極拳功夫の中で、
一番効果を発揮すると言われている“タントウ=静功”
単に脚力を鍛えるためだけではなく、意識も養っています。
“静中求動”
この言葉が内含しているものが、太極拳を外家拳や体操と区別する要素でもあります。
站功(タントウ功)で求められるのは、静止(外側)している内側で意識によって力(劲力)を運用すること。
太極拳は中医の基本となる、“吐納”を応用している武術です。
“吐納=古いものを吐き出して新しいものを取り込む”という呼吸法を利用して身体の調整を図ってもいます。
起勢を例にとるなら、
“丹田内転”、“心火と腎水の交泰=虚領頂頸(神往上昇)と気沈丹田=尾呂中正(気往下沈)による、脊椎の上下の引っ張り合い(対拉抜長)により小周天を通し易くする”などが可能になります。
気(気功)も劲力(太極拳)も、意識によって運用されなければなりません。
意識を養うには、静(タントウ)状態のほうが分かり易くなります。
第一歩としては、、、
掌は胸の高さに、身体の前で腕を丸くするという太極桩の姿勢をとり⇒虚領頂頸、沈肩墜肘、尾呂中正(股関節の放松、圓裆)を保つ⇒坐って行ったほうが容易に立腰(腰が反っていない正しい姿勢)とになるので、年配の方でも簡単に行えるかもしれません。
姿勢が整ったら、
腹式呼吸で息を吸い、吸った息は丹田へと落としていきます⇒腹圧によって、押し出された腹部の体液は、上方(背中や腕)へと移動して~自然に棚(peng)の感覚が生じます。
この、体液の移動を意識の先導によって行う⇒意識による運用の実践の初歩段階を体感できます。
陳小旺老師ですが、、、
タントウ功時のアドバイスなど。。。
「一つ目の要求は、頭は自然に真っ直ぐ上に、肩の力を抜いて肱を沈める、胸を含め、腰を立てて、股間は開き、膝は曲げ、股関節が開く、両手への要求などなど~これらの要求の目的は一つ⇒気沈丹田=形成丹田核心~貫通全身の基本となります。」
※太極拳十要の順番とは異なり~多くの老師たちが沈肩墜肱を先に口にします。
今までのものは、抽象的(外側の形からの判断で、内側の充実ではないという意味?)な説明になります。
どうやって、丹田形成核心を判断するか?
例えばリンゴ。リンゴの木になっている実が、こんな風に小さくて青かったら~まだ熟していないと判断できます。そして、こんなに大きくて赤くてツヤツヤしていたら、熟していると現れ的に判断できます。
では、現れ~という観点から彼の状態を判断してみましょう。
丹田核心が形成されているか、一気貫通となっているか?
もし、彼の体がこんな具合に後ろに反っていたら、丹田核心は出来ていません。
こんな風に肩が上がっていても出来ていません。
このように、自然で中正で、全身が安定している~という状態が表れる⇒丹田核心が形成されています。
自分自身では、どんな感覚が得られるのか?
丹田に膨満感が生じている。胸部は自然にリラックスして、脚底には根が生え、大脳が安定して気持ちも静かに。。。このような現れがある=丹田核心が形成されている。
以下は、丹田運動の基礎練習説明。
丹田(臍の指三本分下)に両手の労宮穴を合わせて置き、呼吸の運用による丹田の回転に随って自然に回す⇒労宮穴と丹田の気は、互いに通じ合う(呼応する)⇒全身の関節は放松。。。核心が動く=全身が動き出す(一気貫動)⇒太極拳運動の規律。
今回、地壇公園で出会った老師からの教えで、改めて気づかされたのですが、、、
丹田から動く~の基本は、やはり、タントウ功(静功)なしには得られない!!!
脚力をつけるためだけに、立っているわけではありません。
目的があるということを自覚しないと時間の無駄になります。