太極拳関係で調べたい事柄があると中国サイトで検索しますが~中国版Wikipedia(フリー辞書)には、≪虚領頂劲≫という項目もあります。北京体育大学留学中、来る日も来る日も~一動作毎に、宗維潔老師から「提頂=頭を上げて」「提頂」と声をかけられていました。今でこそ理解できるようになりましたが、虚領頂頸無くして放松(身体松開)は実現しません。
★ということで、改めて中国版Wikipedia版の虚領頂頸を、、、
虚領頂劲は太極拳要領の一つ。練習時、頭が頂きとなるよう上に~首筋肉に力を入れない~方向転換時、頭と身体は協調一致して自然に~故意(テキスト通り)に視線だけを巡らせたりはしない。
虚領頂劲は、虚霊頂劲とも書く。王宗岳の太極拳論では、虚領頂劲~頭部姿勢への要求。楊澄甫の太極拳十要では、"頂劲者(虚領頂劲とは)、頭容(姿)正直、神貫于頂(頭頂へと貫かれていく“意識=劲力”が感じられる)也。不可用力(力んで頭を上にあげるのではない),用力則項強(力むと項が強張る)、気血不能流通(気血の通りが悪くなる)、須有虚灵自然之意(強張りが“虚=無”となれば、自然となる=阻むものがなくなる)、非有虚領頂劲(虚領頂劲でなければ)、則精神不能提起(“力=意識も劲力も”出現しない)也。
虚領頂劲と气沈丹田は、太極拳の要となる要求。上下で互いに影響し合っている⇒整体。
頂頭懸という呼び方もある。風船のように、スッと上空に向かって伸びている頭部が、上体を吊り上げているような状態⇒身体の隅々を、自由自在に操ることが出来るようになる⇒各経百脈の運行を良くする⇒督脈を通す(精気を強くする)には三関(尾閭関、夾背関、玉枕関)を開く=虚領頂劲&尾閭中正。
≪黄庭経≫では、「子欲不死、修崑崙(崑崙山が最も高い山と認識していた古代では、頭の比喩としていた)」。
頂劲は、単純に表面的な形だけを指しているのではない。内側では意識を覚醒させている。
太極拳は、“身心双修”、“形神兼備”な功夫⇒“用意識引導動作”な運動。全て心・意による⇒神経中枢の高度な指揮による身体の運行⇒なので、頭脳を最高位=神(一番上に存在するものの比喩)としている。
虚領頂劲と全身放松は大きく関わりあっている⇒虚領頂劲の完成無くして、放松は生まれない⇒頂頭懸であれば、身体は~下方へと放松が生じていく~松腰、松股となる⇒尾閭中間(督脈運行のスイッチ)との結合により、立腰(命門=腎(精)が張り出され)となり督脈を通す⇒脊髄が張り出される(弓、龍の出現)=中枢神経系統の活動を高める。
気沈丹田となるには、先ず虚領頂劲でなければならない。虚領頂劲は、気沈丹田の必須条件。気沈丹田となる=虚領頂劲となっていることを保証。
★虚領頂頸が正しく行われていない状況では、身法(内劲を生み出す)となる沈肩墜肘、含胸抜背を作り出せません⇒気沈丹田が完成しない。