今年の全日本大会は7月12~14日。岡山市のジップアリーナでの開催。
で、今月からは、太極拳練習も大会向け仕様になっています。とはいえ、テーマを、太極拳規律を遵守体現した端正な動作~にしたいので、主要となる規律を改めて。
★虚灵頂劲
虚領頂劲とも頂頭懸とも称されています。その要求は、舌先は軽く上顎につける。第三、四節頸椎は後ろへと向かう意識を持つ。首は後ろをシャツの襟に押し付けるような感じで起こす。百会穴は上へと向かい頂きとする。これが正しく行われると顎は自然に収まる⇒脊椎中正(立身中正)の要求を満たす為の第一歩。中正安舒の主要素。
目線は前方に、聴力(耳)の集中は後方とすることで気持ちが奮い立ち、同時に大脳は安静になります⇒「眼線が前に」への反対の力としての「聴覚は後ろに」⇒“有前必有后的”。
★含胸抜背
含胸抜背と挺胸(胸を張る)は相反する動作。胸の中心部を放松(膻中内含)⇒正しく行われると、大椎の張り出しにより自律神経が働き心理の安定が生じる⇒このような感覚が得られないとしたら、猫背によって作られた間違った含胸⇒中正でなくなる。
抜背は含胸と連動している。胸筋が放松含となって背筋(肩甲骨)は僅かに両側へと開き、胸方向へと巻き込まれるように~この時、横隔膜は自然に下降~肺活量が増え、体幹を支える筋肉も作動~耐力(安定)が増す。
★ 松腰
腰によって主宰する⇒“命意源頭在腰隙”という要求を満たすためには松腰でなければなりません。松腰となる為には、“尾閭中正=尾閭が收まっている"=立身中正安静"⇒太極拳の身法は中正が基礎となっています。身長の45%の長さがあると言われている脊椎は、S字形の生理曲線を描いています。これを、“頂頭懸”と“尾閭を收める”ことにより、脊柱骨を上下に松開させます⇒S字が消える。
脊椎をストレッチさせることによって体質強化が図れます⇒脊椎の柔軟性が保たれ、老化(脊椎の狭小化)のプロセスを遅らせることができます⇒「背骨が、あなたの年齢を語る⇒byハタ・ヨガ」。そして、頭から緩やかに脊椎を下方向に伸ばしていくことによって重心が低くなり、下半身の安定感も増します。
練習時、"腰帯=腰により動く"ということを忘れないように。例えば、足を前に出す時の爪先にさえも腰の主宰による力が反映されなければならないのです。この要求(腰帯)を満たすためには、腰の放松(力が抜けて萎えていてはならない=意識が通って立腰になっている)が不可欠です。
もし腰が強張っていると自然な協調一致が得られなくなるので、手と足それぞれをバタつかせながら動かさざるおえない状況(体操)となり、太極拳の特色でもある"一動無有不動=一箇所が動き始めると同時に全身全てが動き始める"=“整体運動”とはならなくなります。
★ 沈肩垂肘
松肩沈肘は肩関節が松沈となっているだけではなく、鎖骨も微かに沈ませている。肘関節は始終、的度な湾曲を保ちながら沈垂となる。肘関節は力点に対する支点としての役割がある。外三合でも肘の合は重要視されている。垂肘の前提において沈肩も完成する。
沈肩垂肘によって相手からの胸部攻撃を防ぎ易くする⇒沈肩により腋に隙間が生じるので、肘は胸肋につかず離れずという理想的な形になる⇒くっついてしまうと自由に動けない、離れ過ぎると身を守れない。
“三垂”=気垂、肩垂、肘垂。
気垂:気が丹田に落ちて行く⇒身体は山のように穏やかで安定する。
肩垂:腕には松劲が満ちる⇒全身を放松に導く⇒動作を重沈なものにする⇒腕を長く使える⇒肺を広げるので、息があがらなくなる。
肘垂:上腕二頭筋を捻る⇒それによって、静脈と毛細血管を広げ血流をよくする⇒血液循環のスピードが速くなる⇒循環器系統の改善。
肩関節は手三陽経、手陽明(大腸)経、手太陽(小腸)経、手少陽(三焦)経、及手三陰経、手太陽(肺)経、手少陰(心)経、手厥陰(心包)経に関っているので~肩が上がる=強張る⇒気血の通りが悪くなる。
沈肩垂肘でないと、背中、腰、脊椎が強張るので気の通りが悪くなるだけでなく指先への劲の流れを悪くする。肺、心臓などが上へと引き上げられる⇒緊張を招く。