北京ダックで有名な北京“全聚徳”
創設者は楊全仁。
河北省から北京にやって来て、前門の食肉市場で鶏肉や鴨肉の売買をしていました。
鴨に関しては相当の目利きだったので評判は良くて大繁盛。けれど、毎日の食べ物を切り詰めるような生活を続けてお金を貯え、同治三年(1864年)に、経営が悪化した“德聚全”という干果実の店舗が売りに出されていのを買い取り、前門に店を構えたのです。
店の名前を決めるに際して、風水師に相談。
この風水師は、二度店の周りを回り、突然止まると、髭を捻りながら、
「そうだ。ココは風水的な宝地だ。この店の両側にある小さな胡同。まるでシッカリとした輿の柱のようだ。将来、計り知れないほどの大きな輿となるだろう。けれど、以前の店の悪運を取り除く必要がある。そうだ、“德聚全”を逆さまにして“全聚德”としよう。きっと悪い運を取り払ってくれる。」
風水師の言葉に、「“全て”と“徳行が集まる”ですね」と笑顔で同意。
書家を招き、金色の字で店名を書かせて門の上にかけました。
楊全仁は一生懸命に働き、全聚德は日増しに繁盛していきました。
商才に長けていた彼は、腕の良いコック、ウェイター、支配人を雇い入れようと思いつき、他店の烤鴨を食べ歩いて味のチェック。
そして、宫廷御膳金華館で働いていた腕利きのコック、孫に目をつけ、何度もの接触交渉を繰り返した末、獲得に成功します。
孫师傅が来たことにより、宫廷御膳金華館の技術の全てが全聚德に伝わり、現在に至るまで北京ダックの名店という名を冠することになったのです。